2001年 第9回 NOMSV 大会 参加レポート
‘The NOMSV Ninth International Conference’
〜〜性的被害の少年や男性を支援するためのアメリカの大会の報告です (^_^) 〜〜
レポーターは、キューピーちゃん!
トップページへ戻る 2002年4月公開 無断転載禁止です。
2001年10月にアメリカのニューヨークで、性的被害にあった少年や男性を支援するための国際的な大会(&ワークショップ)がありました。
大会の名称は、The NOMSV Ninth International Conference で、“Healing the Sexual Victimization of Boys and Men”と副題がついています。
この大会にくろたけも参加したかったのですが、9月11日にニューヨーク貿易センタービルに2機の民間機が衝突するというテロが発生したため、参加を見合わせてしまいました。う〜ん、残念!
ところが、12月にこの大会に参加した方にお会いする機会があって、その大会の様子をお伺いすることができたので、そのレポートを下にアップしました。 (^_^) ウレシイ〜
アメリカで男性の性的被害が社会的に認識されはじめたのは、1980年代の初頭からのようです。少年の性的虐待や男性の性被害をテーマに取り上げた最初の大がかりな大会がアメリカで開催されたのは、1988年のミネアポリスにおいてでした。
以来、この分野に関わる多くの人々が数々の貢献を積み重ねてきています。過去の大会と、次回の予定は、次のようになっています。
第1回 1988年 ミネアポリス 第2回 1989年 アトランタ
第3回 1990年 トゥーソン
第4回 1992年 オレゴン州ポートランド
第5回 1993年 ワシントンDC
第6回 1995年 コロンバス
第7回 1997年 カルフォルニア州 オリンダ
第8回 1999年 バンクーバー(カナダ)
第9回 2001年 ニューヨーク
第10回 2003年 ミネソタ (予定)
NOMSV---The National Organization on Male Sexual Victimization---は、性的虐待を受けた少年や性的被害を受けた男性に対する支援活動を行っているNPO(非営利団体)です。90年代半ばから活動をはじめています。
NOMSVのホームページ:http://www.nomsv.org/
アメリカにおける男性サバイバー(以下、男性の性的被害者を指す)への支援はNOMSVだけがおこなっているのではなく、むしろ全米各地のレイプ・クライシス・センターや子どもの虐待に対応する各機関が、それぞれに支援活動をおこなっているようです。
とはいえ、アメリカでも男性の性的被害は、まだまだ偏見や好奇心にさらされている面もあるようです。
それでは、以下に、キューピーちゃんのレポートをお聴きしましょう。
追記:次のURLで、この大会のビデオの様子を見ることができます。ただし、早い回線じゃないとかなりつらいです。 http://www.delavanDramaworks.com/silencevid.html
(以上、くろたけ記す)
★★★★★★★★ キューピーちゃんのレポートはここからです。 ★★★★★★★★
こんにちは、キューピーです。(^_^) 今日は、NOMSVの大会のレポートができてうれしく思います。ただ、今日のお話しは、あくまでも私の個人的な見聞の範囲にとどまりますので、あらかじめそのことはご了承くださいね。
さて、この大会の概要からお話しましょう。今年の大会はニューヨークのジョン・ジェイ・カレッジ(John Jay College fo Criminal Justice of The City of University)で行われました。
期間は、2001年10月25日(木)〜28日(日)までの4日間です。ただし、最初の木曜日は本大会に先立って開かれた大会(Pre-Conference Institutes) で、このテーマには詳しくない治療者や支援者向けのセミナーが中心だったようです。
本大会は金曜から日曜日までの3日間です。私は木曜日には参加せずに、本大会だけ参加しました。
今年の大会には、約400人あまりが参加していました。男女比は、だいたい7対3か6対4で、男性が多いようでした。アメリカからの参加が中心ですが、海外からの参加もあります。カナダ、オーストラリア、ベルギーなどから参加していたと思います
参加者は、サバイバー自身とその家族やパートナー、サバイバー支援に携わっている精神科医や心理カウンセラーなどの専門家、研究者、犯罪学者、教育関係者、弁護士、法律関係者、聖職者、ジャーナリスト、学生などです。
登録費用(参加費)は、会員、非会員、学生、それに参加日数などによって違いがあります。3日間参加の場合、会員は$210、非会員は$250、学生は$180会員です。8月中に登録すると、登録費用を割引してもらえます。
それから、大会当日は大きく分けて、全員が参加する全体会(Plenary)と、個人が選択して参加する分科会(セッション)がありました。
全体会は、数百人が入るホールでの講演会です。時間は90分、3日間で4回ありました。
セッションの方は、体験型のワークショップや意見交換を主体とした少人数制のものです。一度に10くらいのセッションが同時並行して行われ、参加者はあらかじめ希望していたセッションに分かれます。人気にもよりますが、ひとつのセッションに5人から、多くて40人くらいまでに参加者はおさえられます。
セッションは、3日間を通じてじつに約80種も用意されており、そのタイトルを見るとどれも魅力的です。各セッションの時間は90分ですが、ワークショップの種類によってはその倍の3時間のものもありました。
セッションは、サバイバーだけが参加できるもの、クリニシャン(臨床医や専門家)だけが参加できるもの、両者が参加できるもの、サバイバーのカップルのためのもの、誰もが参加できるものなどに分かれています。
それから、当日、調子を崩した人が一時的に休めるように、‘セイフ・ルーム’(safe room)も用意されていました。
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第1日目(金曜日)
私が参加した本大会を順番にお話しすることにしましょう。
本大会の第1日目の金曜日は、開会式(Welcome)と基調講演ではじまりました。開会式では、現会長のエリ・ザル(Eli Zal)さんなどが挨拶されました。
この開会式では、9月にちょうどニューヨークで大規模なテロ事件が起きた後だったので、その被害者ケアにかかわっている人々にも、拍手を贈りました。
それから、次年から会長になるリチャード・ガートナー(Richard Gartner)さんが、日本から参加した人がいるということで私を紹介してくださって、うれしかったです。
開会式が終わると基調講演があって、ミック・ハンター(Mic Hunter)さんによる講演がおこなわれました。アメリカで少年の性的虐待を取り上げた先駆的著作としては、マイク・ルー(Mike Lew)さんの『Victims No Longer』(1988)と、ハンターさんの『Abused Boys』(1990)の2冊をあげることができます。
ハンターさんは心理学を専門としていますが、男性サバイバーでもあるんですね。
基調講演のタイトルは、「そんなことはありえない、もしあったとしても傷つくはずがない、傷ついたとしてもそれがどうした」というものです。
このタイトルは、社会の中には、男性が性的被害にあうことはありえない、もし性的被害にあったとしても傷つくことはない、傷ついたとしてもたいした問題ではない、という男性の性的被害に関する3段階の社会的否認があるということを述べたものです。
そこで、じゃあ、そのような社会の否認をどうやって解決したらいいのだろうか。テロの犠牲者には顔と名前がある。でも、性的被害の場合は顔も名前も公になることがほとんどないので、世の中にぜんぜんわかってもらえないんだ。だから、この会場で、男性サバイバーは名乗りをあげましょうと、ハンターさんが聴衆に呼びかけたんです。
ハンターさんが、「私はミック・ハンターです。誰々から、いつ被害を受けました」としゃべると、それに呼応して聴衆の中からも、「私は○○です。おじから被害を受けました」などと、30人くらいの人が自発的に立ち上がって発言したんですね。
それが、いきなり本大会の最初からあったので、もうそれだけで、ぞくっとするほど鳥肌が立ってしまって、、、。来てよかったあ〜、と感激してしまいました。(^_^)
後の閉会式でも、この時の基調講演には感動したという感想がけっこう出ていました。自分は立たなかったけど、みんながどんどんと立ち上がったことで、自分の孤独感が薄らいだという男性サバイバーの方の感想もありました。
大会にはサバイバーも参加していますし、専門家もたくさん来ています。特に、サバイバーでありながら今は心理カウンセラーや専門家という人がたくさんいて、そのようないわゆる‘プロフェッショナル・サバイバー’がすごくがんばって大会をリードしていていたのが印象的でした。また、サバイバーと専門家が協力している様子がうかがえて、すごくよかったです。
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基調講演が終わると、参加者はそれぞれが選んだセッション(分科会)に分かれてゆきます。午前中だけでもセッションが18個もあり、どれもとっても興味深くて迷ってしまったんですが、結局、EMDRに関するワークショップを選びました。
EMDRというのは、近年、注目されるようになった治療法で、簡単に言うと、眼球を左右に動かすことで、トラウマの記憶を加速的に処理する方法です。このワークショップは初歩的なものでした。
私は日本でEMDRの最初の3日間のコースを受講済みだったので、ここを途中退席して、カナダのバンクーバーのグループによるワークショップに移りました。
このワークショップは、元々のプログラムには載っていなくて、当日に新たに設けられたワークショップです。そのワークショップでは、男性性被害者のためのグループ・セラピーでは、どんなことができるかということをやりました。
絵や写真、それに‘shame’(恥)などと単語の書いたカードがあって、それを見て物語を作り出してゆく。それを参加者が順番に試みて、それらの物語からどういうことが見えてくるか、あるいは実際に自分がグループを主催するとき、それらのカードをどういうふうに効果的に使うかといったすごく技巧的なことをしました。
ちなみに、そのワークショップをリードしたドン・ライト(Don Wright)さんは、前回にカナダであったこの大会の議長(Chair)をつとめた人です。とても素敵な人でした。
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昼食は、リチャード・ガートナーさんなどを囲んで、ランチを食べながらいろいろおしゃべりをしました。
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午後もセッションで、この時も当日になって用意されたプログラムを選びました。このセッションは、セックスと少年愛についての講演でした。
その講演者の言うところによると、性的被害をうけて大人になってセックスばかりにのめりこむ男性は、けっきょく、大脳の前頭葉のなにがしかに異常があるというような話しでした。
実際にはそういうことを証明できるケースもあるにはあるものの、小児性愛者の中にはそういう人と、そうでない人もいるはずです。で、途中で抜けました。
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金曜日の最後は全体会で、ローラ・デイビス(Laura Davis)さんが話されました。周知のように、彼女の共著が『生きる勇気と癒す力』として日本語に翻訳されていて、日本でもたくさんの人々に読まれています。
彼女自身もまたインセスト・サバイバーなんですが、最近、『I Thought We'd Never Speak Again : The Road from Enstrangement to Reconciliation』(もう二度としゃべることはないと思っていた)という本を書きまして、この本にもとづく講演をされました。
彼女は長年にわたり家族と絶縁していたんですが、自分のインセスト・サバイバーとしての重みがだんだん取れてきて、サバイバーじゃない部分の自分が増してきたことで、もうそんなに家族と絶縁している必要もないんじゃないかと考えるようになった。そこで、もう一回、家族と再交渉してみようと考えたわけです。
その彼女の経験をもとに、絶縁するのも一つの方法だけど、また再び折り合いをつけてゆくという方法も試ることができるかもしれないという主旨のお話でした。
この講演の中ですごくおもしろかったのが、300人くらいはいるホールにもかかわらず、ローラさんが会場の聴衆に向かって、みなさんは誰かと仲違いをしたことがありますか、その体験を隣に座っている人と話し合ってみましょうと提案したんですね。その提案にそって、実際に、聴衆同士がそれぞれに話し合いをしたんです。
あなたは誰と仲違いをしましたか、その仲違いした人と仲直りをしたいですか、もし仲直りしたいならどういうことをしてみたいですか、またそこから何を得たいですかみたいなことを、聴衆が隣の人と二人組みになって、話し合ったんです。
当然、隣に座っている人が初対面というケースも多かったと思うんですが、いきなり隣の人と、しかもこんなに広い会場を使ってこういう話しをするのが、すごく思いがけない出来事で、びっくりしました。でも、そういうことができてしまうような雰囲気だったんですね。
自分の過去を整理するということを、こんな何百人もいる会場でやってしまうのがすごいなあと感心しました。このようなことができる大会というだけでも、この大会が持つサポーティブな雰囲気がみなさんにも伝わるんじゃないでしょうか。
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以上が第1日目でした。
夜は、ショーを見ながらの夕食会がありました。
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第2日目(土曜日)
第2日目の土曜は、朝9時から10時半まで全体会があって、何人かの専門家が順番に話しました。その中で私の印象に残っていることを少しお話しします。
最初に話しをしたのは、クリスティン・カートワ(Christine Courtois)さんです。彼女ははやくから女性のインセスト・サバイバーの治療をたくさんしてきた人で、そのことを本にしています。
それから、メアリー・ゲイル・フローリー・オデア(Mary Gail Frawley-O`Dea)さん。彼女もおもに女性のサバイバーが大人になって治療を受ける時のことを本に書いてます。私は夏に彼女の本を読んでみて、とっても良い著作だと感じました。
ただ、彼女は9月11日のニューヨークのテロの話しを持ち出してきて、とてもアメリカ中心主義的な話しをしたので、彼女の本を読んで感動した分、ショックを受けてしまいました。
私は会場では数少ない黄色人種だったので、白人社会にはやっぱり、‘We are American’(我ら、アメリカ人!)みたいな思考法があるのかなって感じて、大いに感じていた安心感自体、幻想だったのかとさえ思ってしまいました。
トラウマの治療にたずさわっていても、被害を敵・味方に分けてとらえてしまう思考法がすごくあるんだなあ、と思いました。
最後に話されたリチャード・クラフト(Richard Kluft)さんは、私がすごく会いたかった人で、彼に会えることを楽しみにしていました。
解離性障害や多重人格障害の治療と研究で有名な方で、早い時期からこの分野に携わってきた人です。彼は解離性障害と性暴力の関係を簡単に説明しました。
この全体会は発表者の持ち時間が約10分とすごく短くて、物足りなかったのが残念でした。
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つづいて、個別のセッションに分かれました。
この時は、絶対にアメリカでしか参加できないと思って(笑)、臨床家限定のワークショップに参加しました。このワークショップは、いわゆる性的な‘逆転移’についておおいに話そうという主旨です。
サバイバーと関わっていると治療者も性的な幻想を持ってしまったりすることが少なくないんです。この種の話しは、はっり言って、一番しゃべりにくいテーマなんですよ。(笑)
そのためか、このワークショップはけっこう人気があって、参加者が20人くらい来ていました。ただ、20人もいるとちょっと散漫になってしまいますね。
話し合った内容は外部で話しちゃいけない決まりだったので割愛しますが、治療者も人間だからいろんな反応を起こしてしまうし、でもそこから見えてくるものもたくさんあるよねえ、といった感じでした。
このようなテーマは一回だけでは話しきれないけど、こういったテーマが取り上げられる自体が意味があることだと思います。従来は、ここまであからさまな試みはしていなかったのかも知れないけれど、このテーマをここまでしゃべれるっていうのが、すごい面白い試みだなあと感心しました。
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昼食は、この分野に貢献した人に賞を授与する会がありました。私はこの会には参加せずに、上述のクラフトさんとランチをいっしょに食べながら、すごく深い話を延々としていました。(笑)
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昼食が終わると、午後の全体会です。この全体会は、デイビッド・リザック(David Lisak)さんの講演でした。彼は本は出版してはいないけれど、重要な論文を書いています。
たくさんのサバイバーにインタビューをして、それをもとに内容分析みたいなことをおこなったすぐれた論文を書いた人なんです。
彼は‘男らしさ‘(男性性)という社会的通念が、いかに男性の性的被害やその性的被害の理解の仕方と被害後の影響などに深く関係しているかということを話しました。
今回初めて話されたのかどうかわからないけど、意外にも、彼自身も性的虐待を受けていたということから話し始めました。
彼は小さな頃に、ベビーシッターから被害を受けたそうです。そのベビーシッターは女性だったようですが、その女性の手からわずかでも逃れようと、よくクローゼットに隠れていたんだそうです。幼い頃の彼は、クローゼットを宇宙船だと考えて、空想の中へ逃げ込んだんだそうです。
男の子が女性から性的に虐待されても、一般社会の反応は、「たいしたことないだろう」「むしろよかったじゃない」とそれこそ言われるような話しなんだけれど、その体験がいかに恐怖に満ちていたか、また彼自身がいかに無力感に陥ったかということから話したんです。
彼には息子がいるんだけど、その幼い息子が公園で遊んでいるのを見ながら、ああ、ぼくはこんなに小さな頃に被害を受けたんだ、当時なんにも自分ができなかったのはあたりまえだったんだなあと感じるようになったということです。
それから、やっぱり公園での出来事なんですが、ある父親が小さな男の子を、滑り台の高いところに無理矢理に上らせようとしている。男の子の方は恐がっている。すると、父親が「おまえ男だろう、それくらい上がれよ」と言っているんですね。
女の子に対しては、このような時に「おまえ、女だろう、それくらい上がれよ」とは言いませんよね。男らしさというものが、いかに小さな頃から社会的に強制されていて、しかも男の子の気持ちをゆがめてしまうかという話しをしてくれました。
もしかすると彼が自分の性的虐待ことを公的な場所で話したのは、今回がはじめてだったのかもしれません。そのためか、スピーチが終わるとすぐに家族かだれか親しい人のところに駆け寄ってしまいました。
彼とはこの夏にメールを交換したことがあって、会議に行くことを伝えていたので、後で声をかけたんだけど、挨拶だけですませました。
私が感動したことの一つに、こういう公的な学会という場で、男性がしかもプロフェッショナルでもある男性が個人的な痛みを、個人的なレベルでしゃべれるということがあります。
他の一般的な学会だと、男性は個人的な体験を話さないし、そもそもそういう個人の痛みをしゃべること自体が‘男らしさ’からかけ離れたことと思われがちですよね。そういう意味でも、リザックさんの講演はすごく感動的なスピーチでした。
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さて、こうして午後の全体会が終わったので、次はインナー・ジャーニー(内なる旅)を体験するワークショップに参加しました。どういうワークショップかというと、先住民のドラムをドンドン、ドンドンと叩いていって、トランスを促し、自分のパワー・アニマル(自分を守り力づけてくれる動物)を見つけるために、自分の心の旅を体験するというものです。
最初に、ファシリテーター(進行役)の人がガイドしたイメージを各自の心中につくっていって、そのイメージの世界に入って行くように促します。ところが、私ははじめはなかなか入ってゆけませんでした。
でも、途中から急にどんどんどん入りはじめて、その後も、すご〜く深く入ってしまって、からだもどんどん揺れてくるし、、、。そして、ついに自分のパワー・アニマルを見つけることができて、思わず、おーっ! とか思って、すご〜くうれしくなってしまいました。(笑)
このインナー・ジャーニーのワークショップは、安全性をすごく意識した組立になっています。イメージしてゆく途中で、参加者個々人に対して、さらに先に進みたいかどうかを確かめるポイントが2回ほどあって、進みたいと思えば続けるし、中断したいと思えばちゃんと中断することができる組立になっています。
安全性についてすごくしっかりと配慮されていて、サバイバーでも安心して参加できて、とってもおもしろい体験でした。
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第2日目の夜は、少年や男性の性的被害などこの分野に関する本を書いた著者によるサイン会がありました。
それぞれの著者が座ってる机に行って、サインをしてもうらんです。わりとざっくばらんな会で、軽いサンドイッチと飲み物が出ていました。
そのサイン会では、マイク・ルーさんとも話ができました。ルーさんは優しい感じの方で、ミック・ハンターさんはちょっとこわもての感じの方でした。(笑)
土曜は以上でお終いです。
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第3日(日曜日)
今日は大会最終日です。この日の午前中も、全体会からはじまりました。アメリカにはいろんな文化があって、特にアフリカ系アメリカ人やインナーシティ(貧困層の多い地域)に住んでいる人でも、アビューズ(虐待)されている人はいっぱいいるはずなんです。
でもその場合は、しっかりした精神分析にかかるとかは難しいんですね。また、アルコール依存などの率も高いようです。
それで、この全体会では、アフリカ系アメリカ人社会における男性サバイバーの問題についてスピーチが予定されていまた。ところが、このテーマのスピーカーとして一番期待されていた人が、当日来られなくなってしまい、かわりの人も見つからなかったために、全体としてはもの足りなかった感じでした。
オーストラリアから来た人や他の人も、アフリカ系アメリカ人の人が参加していなくて残念だね、と話していました。
セッションの方でもインナーシティの方によるワークショップが予定されていたんですが、これもキャンセルになってしまって、すごく残念だという意見が参加者間から出ていました。
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全体会が終わった後のセッションは、私は‘解離’を体験してみようというワークショップに出席しました。解離というのは簡単に言えば、性的被害の影響の一つとして、心と体が離れてしまう心理的な現象ことです。
トラウマの場合はその影響として、心と体が離れたり、人格が別々になったり、離人感があったりと、解離の問題はものすごく大きな位置を占めています。
昼食をはさんで、午前・午後と通して計3時間におよぶワークショップだったんですが、これがまたすごいおもしろいワークショップでした! このワークショップには、サバイバーとクリニシャンの両方が参加できました。
ファシリテーター(進行役)はアメリカ人の男性で、合気道をベースにしたワークショップでした。その合気道をもとに、気持ちと身体が離れていると攻撃を受けやすいとか、あるいは身体が防御しようとしている姿勢自体がじつは逆にたいへん攻撃を受けやすくなっていることなどを、自分の身体を実際に使いながら体験しました。
他に、たとえば、ファシリテーターが最初に、「自分の意識を一番上の天井に置きましょう」と指示し、続いて「では、その意識を、天上から少しずらしてみましょう」、さらに「今度は、そのまま歩いてみましょう」と指示を出すんです。
それで、みんな天上に意識を置いたまま歩き出したんですが、そうすると自分の身体の感覚とか忘れちゃったりしてしまうでしょ。だから歩いていてもすごく奇妙な感じがするんです。これは皆さんもすぐ体験できますから、やってみてください。
このようなワークを徐々にいろいろやっていって、いかにじぶんの身体が、感覚とか恐怖心とかと深くつながっているかということを理解しました。
このときすごく興味深かったのが、サバイバーの人たちの中にはすごく解離しやすい人がいて、そういう人たちは、はたから見るとすごい簡単な動作なのに、その簡単な動作をするだけで、「もう、ぼくは自分の体を感じられなくなっています」と言ったりしているんですね。
また、合気道をベースにしているっていうのも意外な感じがしたんですが、参加してみると、なんか、けっきょく、心身のつながりというと東洋にもどっちゃうんだなあというのも感覚としてわかって、おもしろかったです。
というわけで、このワークショップは、半分治療的なものも加えながら、実際にみんなで体験して行くという形のすてきなセッションでした。
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なお、3日目の昼食時には、ビデオの上映がありました。‘リトル・ボーイ’という短編で、当初のプログラムには載っていなかったものです。
監督がサバイバーで、ビデオの内容は男の子が少年野球のコーチから性的な被害を受けるというものでした。男の子の性的被害って軽く見られがちだけど、いかに子どもに取り返しのできない恐怖感などの影響をもたらすかということが描かれていました。
このビデオを観ていて、けっこうフラッシュバックなどを起こした人が多かったらしく、セイフ・ルームがはやったと後になって聞ききました。
上映前からフラッシュバックなどに注意するようにある程度は警告はあったんですが、でも、事前にもっと強く警告しておけば良かったっていう意見が上映後に出されていました。
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さて、いよいよ大会も最後になりました。最後はタウンミーティング、いわゆる閉会式です。閉会式では、参加者が自由に発言する機会があって、3日間でどういうふうに感じたかとか、もっとこうしたらいいんじゃないかとか、自分はここでどう学んだなど発言していました。
上述のアフリカ系アメリカ人の人たちの参加が少なくて残念だったという発言もありました。もちろん、アフリカ系アメリカ人だけじゃなくて、アジア系アメリカ人の人もあまり来ていないんですね。
文化的な多様性と言いながら、そのへんのことがまだぜんぜんカバーできていないねという意見もありました。多重人格のことについて語る場がなくて残念だったねという感想もありました。
それから、将来この大会をどのように発展させて行くのかという話し合いもありました。大会の持つ運動の方向性やその方法についてとか、今後は社会変革や社会啓発の方に力を注ぐのか、それとも学術的な専門性を深めた大会にしてゆくのかなどの議論がありました。
次回の2003年の大会は、ミネソタです。それに向かって、みんなで力を合わせてがんばってゆきましょうという感じで、すべての大会の幕が閉じました。
以上で、わたしの参加レポートは終わりです。(^_^)